Evidence data platform constructed
by Council for Science, Technology and Innovation
厳しい国家財政の中、国費としての研究費がどのように論文・特許等のアウトプットに結びついているかを見える化するシステムを構築し、関係各主体による分析を可能とすることは、より効果的な資金配分の在り方を検討していく上で極めて重要。
国立大学、研究開発法人、共同利用機関における全研究資金の研究者への配分データを収集するため、e-Radに集約されている競争的資金に係る配分データおよび関係機関の協力を得つつ収集した非競争的資金データの統合を実施。
内閣府において論文数、被引用数等のアウトプットデータ書誌情報データを入手し、インプット、アウトプットの関係性の分析を実施。
研究者個人を結節点としてインプット(2018年度)とアウトプット(2019年)の紐づけを実施。
「研究力の分析に資するデータ標準化の推進に関するガイドライン」(内閣府)に基づき収集したデータを使用。インプットとなる研究予算の執行に係る予算執行データについては、研究活動の労働力と資本、すなわち、人件費(年収)と研究活動費の大きく2種類存在するが、本分析においては、研究活動費を対象としており、人件費(年収)データは対象外としている。
各e-Rad研究者について、各法人から内閣府に提供された人事マスタを使用。
2020 年 11 月時点において、Elsevier 社が抽出した出版年が 2019年の日本の研究機関からの論文データを使用。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
国立大学における1千万円当たりのアウトプット(総論文およびTop10%論文)は、概ね「運営費交付金等」>「科研費」>「その他競争的資金」となっている一方、研究開発法人においては、「科研費」の生産性が高く「運営費交付金等」や「その他競争的資金」の生産性が低い。
「その他競争的資金」については、資金配分額の水準が高いため、どの類型においても1千万円当たりアウトプットの水準が低い。
「第1類型」における1千万円当たりのアウトプットは「運営費交付金等」の獲得金額が小さいため「運営費交付金等」の生産性が高い。
一方、「第3類型」「第2類型」においては、特にTop10%論文の輩出における「運営費交付金等」の生産性が高いが、総論文の輩出においては生産性がそれほど高くない。
「運営費交付金等50%超」、「その他競争的資金50%超」のグループにおいては、研究資金獲得額が大きい研究者ほど論文アウトプットが高いものの、1千万円当たりのアウトプットは資金配分額が大きくなるにつれ小さくなっており、資金配分金額が大きくなるにつれ論文輩出の生産性が低下する傾向がみられる。Top10%論文についても同様の傾向が見られる。
「科研費50%超」のグループにおいては、論文数については資金獲得額が大きい研究者ほど1千万円当たり論文数が低下する傾向が見られるが、特にTop10%論文については、配分金額が大きくなっても1千万円当たりアウトプットが一定の水準を維持している傾向が見られ、「科研費」は資金配分規模とアウトプットが見合う形で配分されている傾向がある。
任期の有無による研究資金獲得額は、50代後半になるまでは「任期なし」と「任期あり」の間でそれほどの違いはないが、50代後半以降は大幅に「任期なし」<「任期あり」となる。
若手研究者の1人当たり論文数を見ると、「任期なし」>「任期あり」の傾向が見られ、特に「第2類型」「第3類型」においてその傾向が強いことがわかる。
シニア研究者の1人当たり論文数を見ると、特に「任期なし」研究者において年齢が上昇するに伴い論文を輩出する研究者の割合が低下している。この傾向は、「第1類型」「第3類型」において見られ、特に「第1類型」において年齢が上昇するにつれ著しく低くなっている。
「見える化」の結果については下記のリンクより詳細な資料をダウンロードできる。
あわせて、各資料に関連する会議情報について掲載している。
【関連会議情報】
総合科学技術・イノベーション会議 第141回評価専門調査会(2021年12月20日)
【関連会議情報】
総合科学技術・イノベーション会議有識者議員懇談会(2020年10月22日)
議事次第(内閣府ホームページ)議事概要(内閣府ホームページ)
総合科学技術・イノベーション会議有識者議員懇談会(2020年11月26日)
国立大学・研究開発法人等の研究力の見える化