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by Council for Science, Technology and Innovation
本調査では、エビデンスに基づく大学等運営の一環として、すでに策定されている「産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン」(2016 年 11 月 30 日)、「産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン(追補版)」(2020年6月30日)(以下、「ガイドライン」という)で示されている資金の好循環の視点のうち、「産学官連携における費用負担の適正化」および「大学・国立研究開発法人の財務基盤の強化」の観点から近年法人にとって重要な収入となっている外部資金や寄付金に着目し、その活動状況を見える化し、マネジメントの改善等に役立ててもらうためのエビデンスを整理することとした。
具体的には、法人の財務基盤のうち使途の自由度が高い外部資金・寄付金の収入構成割合を示しつつ、外部資金の中でも伸び率が大きい共同研究収入・寄付金収入に注目し、共同研究収入・寄付金収入の各法人の獲得状況を見える化を行った。また、費用負担の適正化の観点から、間接経費(特に共同研究収入)の取組が各法人において進んでいることを踏まえ、各大学の間接経費比率の状況・獲得状況の見える化、及び財務基盤への貢献度についての分析を行った。また、寄付においては、法人からの寄付・個人からの寄付に分類を行い、それぞれの受入状況についての見える化を行った。
主な資料名及び調査名 | 国立大学 (共同利用機関法人含む) | 公立大学・私立大学 | 研究開発型法人 (自ら研究開発を行う研究開発型法人) |
財務諸表等 | 90 機関 | - | 29 機関 |
内閣府「産学連携活動マネジメントに関する調査」 | 70 機関 | 71 機関 | 27 機関 |
ただし、本資料では、内閣府調査で得られた結果の機関名は開示せず、国立大学法人等財務諸表や各法人の Web サイト等、既公開データで得られた結果のみ機関名を示す。
法人の財政基盤の確立するため、民間資金 3 倍増という政府の目標が掲げられている。特に使途の自由度の高い間接経費収入増大を図ることは極めて重要である。視点 1 では、民間資金を含めた外部資金として、受託研究・共同研究・科研費・寄付金などが、法人の財政上どの程度の位置づけにあるのかについて見える化を行なった。そして、外部資金の中でも比較的使途が自由な財源である間接経費と全学的な一般管理費との比較について見える化を行なった。
<分析項目>
※2019年度の結果のみを図示。(2018年度分は分析ツールを参照のこと)
【1-1】により、法人の収入のうち外部資金や寄附金にどの程度の依存をしているのかがわかる。国立大学法人については大学の特性により財源構造は大きく異なる。研究開発法人はその法人の設置形態によって財源構造が大きく異なる。
出典 : 国立大学法人等財務諸表(2019年度)
【1-2】により、外部資金の間接経費の合計額が、外部資金収入全体のうちどの程度確保されているかがわかる。外部資金のうち、外部資金間接経費収入と寄附金受入額の合計額は、法人にとって比較的使途の自由度が高い資金であり、この2つの財源の割合が高ければ、経営上自由度が高い法人であると言える。
出典 : 国立大学法人等財務諸表(2019年度)
【1-3】により、間接経費の中で、どの資金に基づく間接経費の受入額が多いかがわかる。
出典 : 国立大学法人等財務諸表(2019年度)
【1-4】により、各法人の外部資金間接経費の比率がわかる。科研費の間接経費比率は法人間で差はなく、その他の間接経費比率は機関間で差が生じる傾向がある。特に共同研究の間接経費は近年引き上げを行う機関が多く、間接経費比率の実績について上昇傾向にある。
出典 : 国立大学法人等財務諸表
【1-5】により、外部資金・寄附金の獲得が、大学財政全体にどの程度貢献しているかを表すもの。*外円の「損益計算上の収益」と内円の「損益計算上の費用」の合計額は一致するものではない(両者は最大5%の差がある)。外部資金の獲得により、外部資金直接経費だけではなく、一般管理費などを賄えているかがわかる。
出典 : 国立大学法人等財務諸表(2019年度)
【1-6】により、一般管理費が各機関によって毎年増減があるので留意する必要があるが、外部資金の間接経費・寄附金が法人全体の一般管理費と比較して、どの程度の位置づけにあるかがわかる。当該比率が100%を超える水準であれば、外部資金の間接経費・寄付金が一般管理費を賄える水準にあるといえる。
出典 : 国立大学法人等財務諸表
【1-7】により、一般管理費が各機関によって毎年増減があるので留意する必要があるが、外部資金の間接経費が法人全体の一般管理費と比較して、どの程度の位置づけにあるかがわかる。
出典 : 国立大学法人等財務諸表
視点 2 では、共同研究の間接経費の直接経費に対する比率が法人によってどの程度差があるのかについて、受入額、件数との関係も踏まえて見える化を行なった。特に、多くの法人において共同研究の間接経費比率はここ数年で大幅に変更されており、公開情報を基に間接経費の主な基準率や規程等を一覧化した。
<分析項目>
※2019年度の結果のみを図示。(2018年度分は分析ツールを参照のこと)
【2-1】により、一般管理費が各機関によって毎年増減があるので留意する必要があるが、近年伸び率の高い共同研究の間接経費が法人全体の一般管理費と比較して、どの程度獲得されているかがわかる。
出典 : 国立大学法人等財務諸表
【2-2】により、共同研究受入額と間接経費比率について、4年間(2016-2019年度,*研発は2018-2019)の推移・伸び率がわかる。
出典 : 国立大学法人等財務諸表(2016-2019年度)
【2-4】により、各機関の共同研究の間接経費について、主な基準の設定状況を各機関ホームページにて調査し簡易的に一覧化を行った(2021年1月31日現在)(ホームページ上不明なものについては、「―」としている)。共同研究収入の間接経費の比率の設定ルールについて、昨年度調査時点(2020年1月末)から新たに変更されている機関が出ており、ルール改訂に取り組む様子が伺える。
調査対象機関119機関中20機関が比率を改定(多くが10%→20または30%)。
出典 : 各法人の Web サイトより内閣府作成
民間資金の 3 倍増を目指すための新たな視点として、大学基金への寄付・寄付講座・寄付研究部門の取組も重要である。視点 3 では、寄付による収入に着目し、国公私大・研発の寄付の受け入れ状況を見える化を行なった。
<分析項目>
※2019年度の結果のみを図示。(2018年度分は分析ツールを参照のこと)
【3-1】により、寄附受入額が法人全体の一般管理費と比較して、どの位置付けにあるかがわかる。
出典 : 国立大学法人等財務諸表
上記の報告は以下のリンクより PDF ファイルとしてダウンロードできる。